こんにちわ。SAWA医療設計 代表の澤です。
最近は駅やスーパーのトイレでも、赤外線センサー式の自動水栓付手洗器が設置されるようになってきました。そうです、あの手をかざせばジャーと水が自動で出てくる手洗器のことです。
もちろん病院建築においても以前から感染防止を目的に、患者さんや医療スタッフがメインで使用する手洗器は、非接触型の自動水栓が設置されています。
自動水栓には通常電源が必要になりますが、もし工事や機器の設置工事で一時的に停電にでもなったら、手洗器から水が出なくなり困ってしまいますよね。何だか深夜のショッピング番組のような口調になってしまいましたが…そんな不安を解消する方法があります。
それは、自動水栓の作動電源を自己発電でまかなう方法です。具体的には写真のように川の流れを利用している水車小屋のように、手洗器のなかに小さな水車を仕込んで、吐水のパワーを電気エネルギーに変え、その電源を利用すればよいのです。
あまり知られていませんが、実はこのシステム十数年前から各メーカーから製品化されており、病院建築においては2つのメリットがあります。
病院にとって電気は、1番大切な大切なライフラインですが、改修工事や大型機器の設置時には、一時的に電気をダウンさせなければならない事があります。
“手指衛生が大切”な医療スタッフにとって、手洗器の使用不可は大きな問題です。そんな時でもこのシステムは水力発電機を内蔵しているので、手洗いが可能となり衛生環境を守ります。
もちろん、病棟・外来・診療・管理・供給などで、多数の手洗器を設置する病院にとって24時間365日稼働している使用回数を勘案すると、ランニングコストの節約にも繋がるというメリットもあります。
以外と販売しているメーカーは意識してないようですが、既存病院の水まわり改修ではもともと壁ぎわに電源がひかれていない場合が多く、センサーのためだけに電気工事の項目を増やすのは、業界用語で”工種を増やす”と言い、工事コストの増額に大きく影響します。
その点外部電源が不要のこのシステムは、コストの縮減と工期の短縮の観点から改修工事に適していると言えます。ちなみにイニシャルコストに着目すると、発電機の有り無しの比較でカタログ値は、センサー付蛇口1台あたり6,000円程の差額となっていました。
“24時間365日”継続していく病院運営、棋士の藤井四段のように終盤で効力を発揮する「経営の一手」となるかもしれません。