こんにちは。SAWA医療設計、代表の澤です。
札幌市内の医療法人さまからのご質問
5月18日のブログ、”病院のLCCにおける初期費用は、20%ほど氷山の一角と呼ばれています”での、「ライフサイクルコストのその他の項目とその具体的な割合はどんな感じになっているの?」に対して、
6月23日のブログで、病院の40年間に渡るライフサイクルコスト(LCC)について各項目とその割合を図示し、さらに具体的な金額を入れて建設費が20億円かかる場合、各項目のトータルがその5倍近くの110億円かかることを確認しました。
今回は、ライフサイクルコストを経営判断の材料として、どのように利用していくかの視点とそのポイントについてお話しします。
病院事業をライフサイクルコスト(LCC)から捉える、3つの視点とそのポイント!
【A】初期費用の建設費と総事業費のバランス
【B】病院は24時間365日稼働している
【C】医療・診療報酬の将来動向は予測が困難
最初に“【A】初期費用の建設費と総事業費のバランス”についてお話しします。この視点では2つのチェックポイントがあります。
これは、「外断熱を採用すれば建設費はアップするが、光熱水費はダウンする」ということです。
寒冷地では、ピーク時に外気温がマイナス20度近くになることもあります。また11月から4月までの半年あまりは暖房に頼ることになりますので、エネルギーロスが少ない建物は初期費用としての建設費は上がりますが、建設費の1.5倍の割合を示す光熱水費のなかの暖房費は下がることになります。
さらにコンクリートの躯体部分を、断熱材を含め厚い材料が外側から守るため、外壁部の修繕費に軽減にも繋がります。このように建設費、光熱水費、修繕・更新費など上の図の5つの項目は連動していることを常に頭において置く必要があります。
先ほどお話しした外断熱の仕様は、外壁仕上と合わせて各メーカーからいろいろな方法が提案されています。見た目のデザインも見据えながら比較し、各項目毎のコストプランのパターンを作成依頼し、業者さんにアドバイスを受けながら判断されるのが良いでしょう。
各項目とは例えば、照明方式、設備方式、各室内の仕上げのグレード…などです。先にもお話ししたように、病院事業を進める上では中・長期ビジョンを立てた上で、様々な視点から経営判断することが大切です。
上の図のとおり建設費はアップしても、光熱水費、保全費、修繕・更新費はダウンすることを中・長期ビジョンでどう捉えるかです。
次回は”【B】病院は24時間365日稼働している”の視点とそのポイントについてお話しします。