病院の手術室にスプリンクラーが設置されていないが、大丈夫か?

こんにちは。SAWA医療設計、代表の澤です。

札幌市内の医療法人さまから”特殊建築物等の定期報告”に関連して、スプリンクラーの設置に関するご質問がありました。

■特殊建築物の定期報告制度とは
多数の人が利用する建築物のうち、政令及び特定行政庁が指定した建築物について、所有者(所有者と管理者が異なる場合は管理者)が定期的にその状況を有資格者に調査・検査させて、その結果を報告するよう定めた制度です(建築基準法第12条)。所有者(または管理者)は、建築物を常時適法な状態に維持するよう努めなければなりません(建築基準法第8条)。本制度は事故や災害時の被害拡大を防ぎ、建築物・利用者の安全性を確保することを目的としています。

ご質問の内容は、定期報告の資料をチェックしている際に気付かれた「手術室にスプリンクラーが設置されていないが、大丈夫か?」です。そしてこの答えは、以下の通り大丈夫です。

設置が免除されている室

スプリンクラーに関する規定の消防法施行規則第13条には、以下のようにスプリンクラーヘッドの設置を免除する部分が規定されています。

一般的には、トイレ・浴室などの水廻り、機械室や電気室など、エレベーターの昇降路やダクトスペースそして直接外気に解放されている部分などです。

これらに病院特有のものとして、手術室・分娩室・内視鏡室・人工透析室・麻酔室・重症患者集中治療看護室など、さらにレントゲン室等放射線源を使用、貯蔵、廃棄する部屋が含まれます。

スプリンクラー免除の代替

原則として全ての部分にスプリンクラーの設置は必要ですが、免除されている部分に関しては、通常は補助散水栓が設置されます

また建築防災の観点から手術部門の規模や機能を踏まえ、全体を鉄性の防火扉等により防火区画(籠城区間)の方策をとることもあります。万が一手術中に病棟などで火災が発生しても、無理に避難せずに消防隊の到着と鎮火を待ちながら、手術を続行する考えです。

最近では病院敷地内の禁煙に伴い、トイレなどで隠れてタバコを吸う案件も見られるようです。そのため設置免除のトイレにおいても、設置するよう指導されるケースも増えてきました。

先の特殊建築物の定期報告制度に関してですが、定期報告を行わなかったり、虚偽の報告を行なった場合には罰則( 100万円以下の罰則 )の対象となります(建築基準法法第101条)ので注意して下さい。

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