一般病棟を中心に、約350床のベッド数のある札幌市内の総合病院様
より高い周産期医療の提供と診療報酬の増益を見据え、既存病棟の3室の病室を 総合周産期特定集中治療室へと改修する工事を行いたい。
その際、治療室内の内法床面積を15㎡以上確保し、バイオクリーンルーム仕様 としたい。
病棟部は平成12年に竣工しており、一般病棟の個室は6.4m2の基準は十分に クリアしているものの、上記の診療報酬上の施設基準15m2は満足していない。
一般病室の仕様のため、設備方式、各仕上げ材においても、施設基準に合致 していない。
診療報酬にかかる施設基準を読み解き、綿密な現地調査の情報から、機能性・ アメニティ・コスト・工期をバランス良く設定する。
改善前の状況にあるよう、既存の病室は個室とはいえ15m2の内法面積を確保 するには非常にシビアな状況。
しかし、面積確保のために廊下方向へ拡充することは、コストの大幅な増額と 工期の延長につながる。
そこで病院の許可を得ながら、病室内のパイプスペースや天井を壊し、ミリ 単位での現地実測を行ない、その詳細な情報を元に施設基準、機能性を満足 する改修計画案を提示。
施設基準には明示されていませんが、各治療室毎に分散配置の専用WCを設け、 そのコンパクトさとは反する、車椅子や歩行器でのアプローチが可能なL型扉 (引き戸+開き戸)を設置しました。
十分な機能を発揮するペーパーフィルタ付ファンコイルユニットを選定し、 コストを抑えつつ、感染への対応基準を満足させる空調システムとしました。
事業スケジュールは固まっており、設計から現場、運用準備におけるプロセス において後戻りする余裕はありませんでした。
ベッド、医療機器の配置、医療行為の提供のしやすさ、患者さんの安全性と 快適性、様々な視点からドクター、ナースと詳細な協議を重ねました。
計画案を絞り込みの上、厚生局や保険所との打ち合わせも並行して進め、病院 担当者に同行しながら、諸官庁の同意も得るようにしました。
各既存病室(1床)内の範囲で、治療室(内法15㎡)個別WC及び洗面化粧台を 確保しました。上記の範囲内でおさめることで、工事コストの抑制と工期の短縮 を実現し、医業収入をアップし出費を抑えることが可能となりました。