競争から協調への流れ「地域医療連携推進法人制度」のメリットとその課題

こんにちは。SAWA医療設計、代表の澤です。

今日は、医業経営コンサルタント協会の認定研修で東京に来ています。研修の内容は2017年4月2日から施行された、”地域医療連携推進法人制度”に関してです。

地域医療連携推進法人制度とは、医療法人などの複数の非営利法人が参加して、都道府県知事が認定する仕組みの非営利ホールディングカンパニー型の法人制度です。高齢化のピークと人口減少を同時に迎えるなか、これまで同じ医療圏の中で競い合ってきた医療機関等における、”競争から協調”への流れを打ち出した厚生労働省の医療法の改正です。

制度のメリットは主に3つ

① 地域医療連携推進法人内での、病床機能転換が可能
② 医療スタッフの統一したキャリアパスの構築が可能
③ 薬剤や医療機器、資材等の共同購入による経費削減

その他、グループ化によるロゴを掲げることで、地域への圧倒的な存在感を示しうること、連携推進法人から参加法人への資金貸付を行うことも可能になります。

認定された4つのグループ

地域医療連携推進法人は、一般社団法人を設立の上、都道府県知事の認定を受ける必要があります。平成29年2月下旬に連携推進法人制度の活用による機関等の連携を検討している事例として厚生労働省医政局が8つを公表しており、そのうち下記の4つのグループ法人が認定されています。
・ 尾三会(愛知県)、大学付属病院と地域医療法人等の業務連携
・はりま姫路総合医療センター推進構想(兵庫県)、病院間の統合・再編成
・備北メディカルネットワーク(広島県)、中山間地域における市立病院等の業務連携
・奄美南部メディカルケアアソシエーション(鹿児島県)、離島における診療所の連携

連携推進法人制度では、知事の認可を受けることにより参加法人は一定の制約を受けること、参加法人間での医師などの人件費の格差が表面化すること、議決権は原則として各一個人であるため、巨大病院と一人医師法人との逆格差が生じることなどの課題が指摘されているようです。

今のところ、診療点数のアップや加算、補助金助成金の付加、税制優遇などはありません。地域医療構想を実現するための一つの選択肢として期待されているこの制度、長期視点での今後の動向が注目されます。

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