こんにちは。SAWA医療設計、代表の澤です。今日はいつもとちょっとちがった話を…
先週の7月13日(木)〜16日(日)まで東京と山梨に札幌から出張に行って来ました、どちらの地域も30度超えの気温で夏真っ盛といった雰囲気でしたね。
SAWAのホームページの会社概要にもありますが、私は12年前まで東京に本社をかまえる設計事務所に勤務しておりました。その時の最後の仕事の一つが、これから話にでてくる山梨県上野原にある特別養護老人ホームです。
さかのぼること3週間ほど前の6月26日、ご縁があり退職後も度々連絡を取り合っていたこちらの施設の理事長さまから、電話連絡を頂ました。内容は「そろそろ外壁と屋上防水の手直しを考えている」とのことです。建物が出来上がってから12年が経っており、外壁コンクリートに経年変化に伴うクラックも多少入っていたことから、理事長とお話し私が在職していた東京本社の設計事務所さんに相談することにしました。
早速担当者の方が理事長とのスケジュールを調整され、7月14日(金)にはそちらの設計事務所から2人の技術者が山梨県の上野原駅におりたっていました。お二人ともアラフィフ(Around50)で、私が在職していた当時の先輩と後輩にあたります。理事長との面談のなか、お二人の変わらぬ理論展開と、切れ味のあるお話ぶりは、横で聞いていた私にとってとても気持ちが良いものでした。
現地調査の結果、外壁の軽微なクラックにかんしては、これから再検証するが東日本大震災時の地震力による可能性もあるとのことでした。しかし建物に大きな影響を与えるようなクラックではなく、再度調査をかけ今後の修繕更新計画も含む資料をお二人より提示することになり、理事長もとても安心されておりました。
無事打ち合わせも終了してお茶を頂きながらの話です。東日本大震災の時、被災地の復興のため先ほどの設計事務所さんからは、総勢30人以上の設計技術者が現地に乗り込んでいったとの話を聞きました。その時、現地には電気が通っておらず、普段あたり前のように使っているパソコンや設計図作成のためのソフト等が、全く使用出来なかったそうです。
その30人の技術者の中に、今回の施設調査のために来てくれたお二人が入っていました。お聞きすると、30人のメンバーのほとんどがいわゆるおじさん達で、その理由はパソコンなどなくてもその豊富な経験から、図面やスケッチを手書きでバンバン書けるからだそうです。
実際の現場では、ホワイトボードとペン、A3のコピー用紙をつなぎ合わせた大きな紙とマジックを使い、施主や施工者との現状把握や改修の方針などの取りまとめをしたそうです。この最悪の環境下における設計作業、文章にするのは簡単ですがその苦労は想像を絶します。
12年ぶりに再会した同僚達、札幌で見ていたニュース映像の裏で技術支援者として活躍されていたことに、当時一緒に働いていた者としてその話を聞き、とても誇りに思いました。
最後にお二人が話されていた、「同じ事態は起こってほしくないし、またあの時と同じことは出来ない」との言葉に、当時の計り知れない苛酷な状況が伺われます。