「病院の建替えを同敷地で行う」場合のメリット・デメリットと注意点!

    病院を同敷地で建替える場合のイメージ写真

    こんにちは、代表の澤です。

    「設備も古くなったし、スタッフも開院当時から倍増している。」
    「全体的に狭くなってきたので、そろそろ建替えを検討したい…」

    札幌市内の医療法人様からのご相談です。
    「将来的な隣地の取得も見据えた上で、病院建替えの相談にのってほしい」とのことでした。

    SAWA

    この記事は、次のような人におすすめです。
    病院の建替えを検討している人
    ・「同敷地での建替え」か「別敷地での建替え」か迷っている人
    ・同敷地での建替えのメリット・デメリットや注意点が知りたい人

    この記事を読めば、病院の建替えを同敷地で行う」場合のメリット・デメリットと注意点がわかります。

    病院設計20年の設計士が、実際の相談をもとに、同敷地での病院の建替えのポイントをまとめました。
    病院の建替えを検討している人は、ぜひお読みください。

    目次

    「病院の建替えを同敷地で行う」場合のメリット・デメリット

    病院の建替えを同敷地で行う場合のメリットは、以下のとおりです。

    (病院の建替えを同敷地で行うメリット)

    • 診療圏・患者層を維持できる – 既存の患者にとってアクセスが変わらない。
    • 最新の設備・設計が可能 – 病院の動線や医療機器の配置を最適化できる。
    • 土地の有効活用ができる – 旧建物解体後、駐車場や新たな施設を整備できる。

    一方、病院の建替えを同敷地で行う場合のデメリットは、以下のとおりです。

    (病院の建替えを同敷地で行うデメリット)

    • 仮設施設や駐車場の確保が必要 – 工事中の診療継続には一時的な代替施設や駐車場の手配が必要。
    • 工期が長くなりがち – 解体・新築・移転の期間があるため、全体スケジュールが長引く可能性がある。
    • 資金計画の慎重な検討が必要 – 一時的に運営費と建設費が重なるため、資金繰りの計画が重要。

    「病院の建替えを同敷地で行う」場合の注意点

    病院の建替えを同敷地で行う場合は、以下の点に注意してください。

    敷地の接道状況を確認する

    病院の敷地が2本以上の道路に面しているかどうかは、運営への影響を最小限に抑え、安全に工事を進めるうえで重要な要素となります。

    接道する2本の道路をうまく活用し、「病院の運営動線」と「工事動線」を明確に分離することで、安全性と効率性が向上し、結果として工事コストの削減や工期の短縮につながります。

    1本の道路しか接していなくても、接道部分が十分に長ければ問題はありません。しかし、2本以上の道路に面していると、病院建築における複雑な動線計画や効率的な平面計画を立てやすくなるため、建替え時の大きなメリットとなります。

    行政が指定する「地区計画」に注意する

    また、市が指定する「地区計画」にも注意が必要です。

    見落としがちな規制ですが、都心から少し離れたエリアでも、建ぺい率が40%と厳しく設定されているケースがあります。地区計画によって、建物の配置や平面計画に大きな影響を受けるため、事前に確認しておくことが重要です。

    これらの課題は、隣接する適正規模の土地を取得することで解決できる場合があります。
    病院の管理者が「隣の土地は相場より高くても買う」というのはこんな理由からでしょう。

    病院建替工事中に、仮設駐車場は確保できるか?

    100床前後の医療法人が同じ敷地内で建替えを行う場合、条件にもよりますが、着工から竣工、引越し、旧建物の解体、駐車場の整備までに2年近くかかることが一般的です。

    多くの場合、現在駐車場として使用している土地に新しい病院を建設するため、患者用・スタッフ用を含めた必要な駐車台数を算出し、不足分は近隣で確保する必要があります

    たとえ公共交通機関の駅が近くにあっても、駐車場が不足すると、収益の減少や患者離れにつながる可能性があります。
    そのため、着工の1年ほど前から月極駐車場の確保や、近隣企業の空き地の活用について交渉を進めることをおすすめします。

    まとめ

    今回は、「病院の建替えを同敷地で行う」場合のメリット・デメリットについて解説しました。

    さまざまな課題はありますが、病院の建替えを同じ敷地内で行うことには大きなメリットがあります。 地域や近隣の医療機関との連携を継続できることに加え、既存の患者さんを引き続き維持できる点が何よりの強みです。

    同敷地建替のメリット同敷地建替のデメリット
    診療圏・患者層を維持できる
    最新の設備・設計が可能
    土地の有効活用ができる
    仮設施設や駐車場の確保が必要
    工期が長くなりがち
    資金計画の慎重な検討が必要

    また、病院を同敷地で建替える際の注意点は、以下のとおりです。

    「病院を同敷地で建替える」場合の注意点
    • 敷地の接道状況を確認する(2本以上の道路に接面 or 1本でも十分な長さがあるか?)
    • 行政が指定する「地区計画」に注意する
    • 病院建替工事中に、仮設駐車場は確保できるか?

    同敷地で病院の建替えを検討する場合には、敷地の条件をしっかりと把握し、計画を進めてください。

    病院の既存大改修と、別敷地で病院を建替える場合のメリット・デメリットと注意点は、以下の記事で解説しています。ご興味のある方は、ぜひお読みください。

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