病院の安全対策、見落としていませんか?— たこ足配線が火災を引き起こすリスクと対策

    たこ足配線イメージ写真

    こんにちは。SAWA医療設計、代表の澤です。

    「病院の事務室のデスクの裏側にあるコンセント、気づけばコードがごちゃごちゃしている…」そんな状況になっていませんか? たこ足配線は便利ですが、放置すると火災のリスクが高まることをご存じでしょうか?

    実際、国内では電源コードが原因となる火災が発生しており、重大な事故につながるケースもあります。しかし、適切な管理をすれば、リスクを大幅に減らすことが可能です。

    この記事では、「たこ足配線」の危険性と、簡単にできる安全対策を2つのポイントに分けて解説します。これを実践することで、病院内の配線を安全に保ち、火災リスクを最小限にすることができます。

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    この記事は、次のような人におすすめです。
    「たこ足配線」による火災リスクが気になる方
    ・病院の事務室内の安全対策を見直したい人

    病院設計や設備管理に携わる専門家の知見をもとに、実際の事故例を踏まえて解説するので、ぜひ最後まで読んで、安全な環境づくりに役立ててください。

    目次

    病院の事務部長様からのご相談内容

    札幌市内の病院の事務部長から、「事務室のデスク裏にあるコンセントがたこ足配線になっていて心配している」というご相談を受けました。

    実際、国内では2013年に福岡市の医療施設で火災が発生し、入院患者など10人が亡くなる事故がありました。この施設は鉄筋コンクリート造の4階建てで、報道によると火災の原因は、電源プラグにホコリ(埃)がたまり発火するトラッキング現象」によるものだったそうです。

    また、防火扉の一部が作動しなかったことが煙の充満を招き、被害を拡大させたとも報じられました。

    院内の「たこ足配線」による火災リスクを減らすためのチェックポイント

    このように、電源周りの管理は非常に重要です。

    現代はPCやタブレット、周辺機器などが増え、家庭でも職場でもコンセントが不足しがちです。「たこ足配線」が気になったら、次の2つのポイントをチェックしてみましょう。

    コンセントには容量の限界がある

    壁のコンセントに接続する3mほどのテーブルタップは一般的ですが、4口・6口・8口といったものも販売されています。一見、コンセントが増えて便利に思えますが、元の壁のコンセント1つに繋がっているだけで、電気容量が増えるわけではありません

    例えば、電気ストーブ・電子レンジ・ドライヤーなどを同じテーブルタップに繋いでブレーカーが落ちた経験はありませんか? これは「電気容量の限界」を超えたために起こる現象です。

    ブレーカーが落ちるだけならまだしも、テーブルタップの本体や配線が高温になり、最悪の場合は焼損する恐れもあります。使用する機器の電気容量を確認し、コンセントの容量に見合う機器を繋ぐことが大切です。

    コンセントの容量には限界があるため、電気容量の限界を超えないよう注意しましょう!

    床に直接置いたテーブルタップのホコリ(埃)に注意!

    もう一つの注意点は「ホコリ(埃)」です。

    病院の事務室では、テーブルタップが向かいあったデスクの間や床面に置かれていることが多く、掃除機のノズルが届きにくいため、ホコリが溜まりやすくなります

    このホコリが、先述の福岡の火災事故の原因となった「トラッキング現象」を引き起こします。湿気を帯びたほこりが電源プラグにたまり、ショートして発煙・発火する現象です。

    「たこ足配線」では分岐が多いため、トラッキング現象が発生しやすくなります。
    一度みなさんで机の下の配線状況をチェックし、ホコリが溜まっていないか確認しましょう!

    また、コードの被覆が傷んで中の配線が見えていたり、極端にねじれていたりするものがあれば、「もったいない」と思わず、早急に交換することをおすすめします

    通常のPCやルーター、プリンターなどの容量が小さい機器であれば、7~8台つなげても問題になることは少ないですが、気になるようでしたら、一度出入りの電気設備業者さんに相談されると良いでしょう。

    まとめ

    今回は、「たこ足配線」の危険性と「火災リスクを減らすためのチェックポイント」について解説しました。

    「たこ足配線」の火災リスクを減らすためのチェックポイント
    1. コンセントには容量の限界がある
      – 使用機器の容量を確認し、コンセントの容量に見合った機器を繋ぐ
    2. 床に直接置いたテーブルタップにホコリ(埃)がたまっていないか確認する
    3. 電源コードの被覆が傷んで配線が見えていたり、極端にねじれているものは早急に交換する
    4. 気になる点があれば、出入りの電気設備業者さんに相談する

    たこ足配線は便利な反面、電気容量オーバーやほこりによる火災リスクを伴います。特に病院では、複数の機器を接続する機会が多く、知らず知らずのうちに危険な状態になっていることもあります。

    定期的に配線を確認し、電気容量を守ること、ほこりを取り除くことを習慣にしましょう。安全な環境を維持するために、必要に応じて専門業者に相談することも重要です。

    病院管理者の皆様、この機会に事務室内の安全対策を見直してみることをおすすめします。

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