規制緩和で「薬局が病院敷地内で開設可能」 ー 知っておくべき2つのNGパターン

    薬局を併設するプランのイメージ写真

    こんにちは、代表の澤です。

    今回は、病院の敷地内に薬局を建設する際、「規制緩和が適用されない具体例」について解説します。

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    この記事は、次のような人におすすめです。
    病院の敷地内に薬局を開設予定の人
    ・病院の敷地で薬局をつくる注意点を知りたい人

    病院設計20年の設計士が、病院の敷地内に薬局をつくるの際の注意点をまとめました。
    ご興味のある人は、ぜひお読みください。

    目次

    薬局と医療機関の独立性に関する規制緩和について

    2016年10月1日より、薬局と医療機関の独立性に関する規制が緩和されました。

    それまで厚生労働省は、

    • 医療機関で処方箋を受け取った患者が薬局へ行く際、一度公道を経由するよう求めていました。
    • また、薬局と医療機関の建物が隣接する場合には、塀やフェンスなどで明確に分離するよう指導していました。

    規制緩和の背景:

    • この規制が見直されるきっかけとなったのは、2014年に寄せられた行政相談でした。
    • その相談では「体の不自由な方、高齢者、子供連れの患者にとって、一度公道に出てから薬局へ向かうのは不便ではないか」という声が上がりました。
    • この意見を受け、2015年に政府の規制改革会議が見直しを答申し、厚生労働省との協議を重ねた結果、規制緩和が実現しました。

    規制緩和が適用されない、2つのNGパターンを理解する

    実際にみなさんが病院の敷地内に薬局を建設する際には、最初に「規制緩和が適用されない具体例」を理解しておくと計画が進めやすいと思います。

    厚生労働省の通知「保険医療機関及び保険医療養担当規制の一部改正等に伴う実施上の留意事項について」の一部改正について(2016年10月1日より適用)の各文を読み解くと、以下の2つのケースでは規制緩和が認められません

    病院と薬局が一体化しているケース(A図参照)

    1つ目は、上図のAにあるように、病院と薬局が建物として一体化している場合、規制緩和の対象外となります。

    厚労省の通知文では、「保険薬局は保険医療機関と一体的な構造とし、または保険医療機関と一体的な経営を行ってはならない」と明記されています。

    一体的な構造」とは具体的に、建物がベッタリくっついてたり、一見別々の建物に見えても、渡り廊下などでつながっており、人や物の往来が可能な状態を指すようです。

    なお、建設の専門的な話になりますが、建築の耐震構造などの理由で、病院と薬局を構造的な梁などでつなぐ場合とは意図が異なりますので注意が必要です。

    道路から薬局の入口がわかりにくいケース(B図参照)

    2つ目は、上図のB のように、病院が面している道路から見たときに、薬局の入口が分かりにくい場合も、規制緩和の対象外になります。逆に言えば、医療機関から薬局への誘導が顕著な場合と言えるでしょう。

    この問題を解決するためには、以下のような対策が有効です。

    • 薬局の入口を道路から見やすい位置に変更する
    • 敷地内に薬局への明確な歩行・車輌通路を設ける

    規制緩和を活用するために

    規制緩和を適切に活用するためには、計画の初期段階から管轄される厚生局や保健所と事前協議を行い、申請手続の順序や期間も含め相談すると良いでしょう。

    まとめ

    今回は、「病院の敷地内に薬局を建設する規制緩和 – 2つのNGパターン」について解説しました。

    病院の敷地内に薬局を建設する際は、以下の2つの点に注意してください。

    病院の敷地内に薬局を建設する際の注意点
    • 病院と薬局が一体化していないか?
    • 道路から薬局の入口が分かりやすいか?

    早い段階から行政と事前協議を行いながら進めることをおすすめします。

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