病院のLCC(ライフサイクルコスト) – 初期費用の建設費はたったの2割!?

    氷山の一角(イメージ写真)

    こんにちは、代表の澤です!

    みなさん、建物のLCC(ライフサイクルコスト)という言葉をご存知でしょうか?

    建物を建てる際は、初期費用である「建築コスト」に目が行きがちです。でも、病院の場合、それ以上にライフサイクルコストの考え方が重要です。

    特に、最近のエネルギー高騰や物価高の状況では、ライフサイクルコストを少しでも抑えることが病院経営の安定につながります。

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    この記事は、次のような人におすすめです。
    ・病院のライフサイクルコストについて知りたい人
    ・病院建築を建てたり、増改築の予定のある人
    ・病院改修で設備やエネルギーコストを抑えたい人

    この記事を読めば、病院のLCCの基本的な考え方がわかります。

    病院専門20年の設計士が、病院のLCCの考え方について詳しく解説しています。ご興味のある方は、ぜひお読みください。

    目次

    病院事業のLCC – 初期費用の建設費は「氷山の一角」!?

    身近な例では、車を買ってから廃車までにかかる費用に似ています。車を購入する時も「デザイン」「安全性」「燃費」など、いろいろ悩むものと思います。

    最近は、タクシー業界でハイブリッド車が増えています。ガソリン車より購入費は高いものの、燃費が良く長持ちするため、厳しい業界でも選ばれる理由があります。

    建物のLCC(ライフサイクルコスト)の考え方もよく似ています。

    建物のLCC(ライフサイクルコスト)の5項目

    建物のLCC(ライフサイクルコスト)は、一般的に、以下の5項目に分類されます。

    建物のLCC(ライフサイクルコスト)の5項目の分類
    1. 建設費:施設建設費用
    2. 光熱水費:電気・ガス・水道
    3. 保全費:清掃・ゴミ処理・設備管理・警備
    4. 修繕・設備等更新費:建築、設備機器の修繕、更新
    5. 一般管理費:諸税・保険料・レンタル(リース)・消耗品

    このうち、①の建設費が初期段階の費用、②〜⑤が建物を建てた後にかかる費用です。

    病院のライフサイクルコスト 項目別の割合イメージ

    建物のライフサイクルコストは、用途(病院、オフィスビル、ホテルなど)によって各項目の割合が異なります。

    運用段階でのライフサイクルコストの図
    病院のLCCの構成(出典:「医療施設(市ヶ谷出版)」)

    「病院」の用途に限定すると、

    • LCCの初期段階での建設費が占める割合は、全体コストの約20%といわれています。
    • 残りの80%は、水道・光熱、点検・保守、清掃などの運用維持管理、税金・保険、建物の解体処分など、建築費以外のコストが占めています。

    上図の割合イメージをもとにした場合、例えば、建設費が20億円かかるるとした場合、40年間の光熱水費は、その1.5倍の30億円ほどかかる計算になります。

    そのため、新築や増改築・改修の際には、建築コストだけでなく、運用コストも含めて長期の視点でコストを抑えていくことが重要となります。

    まとめ

    初期費用の建設費は「氷山の一角」 といわれています。

    生涯のLCCを抑えるには、初期費用だけでなく、将来の運用コストを検討することが重要です。

    まとめ

    病院事業においては、初期費用である「建築コスト」以上にライフサイクルコストの考え方が重要です。

    そのため、長期の視点で水光熱費などのランニングコストを十分に比較検討しておくことが、トータルコストの圧縮につながります。

    「病院のLCC(ライフサイクルコスト)を抑える5つのコツと具体例」については、以下の記事で紹介していますので、あわせて読んでみてください。

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