建設費・修繕コストを抑えて病院運営をスムーズに!24時間365日稼働する病院の施設計画のポイント

    病院スタッフのイメージ写真

    こんにちは、代表の澤です。

    建設費や修繕コストの増加は、病院建替えや改修工事を予定している人にとって、頭の痛い問題かと思います。
    工事前の設計段階の工夫で、こうしたコストが少しでも抑えられたら嬉しいですよね?

    今回は、病院改修や建替えを計画する際、企画・設計段階で押さえておくべき「建設費」と「修繕コスト」を抑えるポイントについて解説します。

    SAWA

    この記事は、次のような人におすすめです。
    ・病院改修や建替えを予定している人
    ・建築費や運用コストを抑える方法を知りたい人

    この記事では、病院経営者さまに向けて、病院設計20年の設計士が病院改修や建替え前に知っておきたい、コスト管理に役立つポイントをまとめています。ご興味のある人は、ぜひお読みください。

    目次

    病院のLCC(ライフサイクルコスト)の5項目

    病院のライフサイクルコスト(LCC)は、主に以下の5つの項目で構成されています。

    建設費 –  施設の建設にかかる費用
    光熱水費 –  電気・ガス・水道などのエネルギーコスト
    保全費 –  清掃、ゴミ処理、設備管理、警備などの維持管理費
    修繕・設備等更新費 –  建築や設備機器の修繕・更新にかかる費用
    一般管理費 –  諸税、保険料、レンタル(リース)、消耗品などの管理コスト

    病院のLCC(ライフサイクルコスト)の概要については、こちらの記事でも解説しています。

    病院の「建設費」「修繕コスト」を最適化!施設計画のポイントとは?

    病院は24時間365日稼働しています。これはオフィスビルや他の施設との大きな違いです。また、病院は動線の種類が多いことも特徴です。

    今回は、このような特徴をふまえた上でのコスト管理戦略として、特に①建設費④修繕・設備更新費に着目し、重要な施設計画のポイントを解説します。

    修繕・更新のための経路を事前に検討する

    病院では、以下の3つの動線をはじめ、ワンフロアに多くの動線が入り混じります。

    • 患者動線
    • 医療スタッフ動線
    • 医材やリネンの供給動線など

    さらにそこに修繕・更新作業の動線が加わると、日常の運営に支障をきたし、業務に大きな影響を与える可能性があります。

    そのため、企画・設計段階から部門ごとの修繕・更新計画を意識し、資材や機器の搬入経路を確保することが重要です。


    例えば、中層階にあるオペ部門では、サービス用のエレベーターや階段を利用し、バックヤード経由でオペ室周辺に到達できる単独の搬入経路を確保すると良いでしょう。

    このように事前に経路を確保することで、オペ部門の運営を妨げることなく、設備機器や医療機器、内装仕上げの修繕・更新をスムーズに実施できます。

    その結果、工事期間が短縮され、修繕・更新費(④)の削減にもつながります。

    仕上げや仕様にメリハリをつける

    病院には、修繕・更新がしやすい部門と、修繕・更新しにくい部門があります。

    • 例えば、低層階にある「外来部門」は、診療時間外や土日祝日にクローズすることが可能なため、比較的修繕・更新がしやすい部門です。
    • 一方で、「病室が面するメインの廊下」は、患者・見舞客・医療スタッフ・供給動線が24時間365日稼働しており、修繕・更新が非常に困難なエリアです。
    • このような場所では、初期の建設費(①)が多少上がっても、耐久性の高い仕上げ材や設備を選択することで、更新頻度や工事範囲を減らし、運用への影響を最小限に抑えることができます。

    そのため、
    更新がしやすい部門では、耐久性は低いが安価な材料を選択する
    更新がしにくい部門では、耐久性の高い材料を採用する

    このような工夫により、①の建設コストのバランスをとることができます。

    まとめ

    今回は、「建設費」と「修繕コスト」を抑える病院施設計画のポイントについて解説しました。

    企画・設計段階から、修繕・更新費(④)を意識し、経路の確保仕様のメリハリをつけて検討することが重要です。これにより、病院運営への影響を最小限に抑え、ベッド調整などによる収入の減少を抑えることができます。

    「建設費」と「修繕コスト」を抑える病院施設計画のポイント
    1. 修繕・更新のための経路を事前に検討する
      企画・設計段階から部門ごとの修繕・更新計画を意識し、資材や機器の搬入経路を確保する。
    2. 仕上げや仕様にメリハリをつける
      (例)
      ・更新がしやすい部門 – 耐久性は低いが安価な材料を選択
      ・更新がしにくい部門 – 耐久性の高い材料を採用する
      などの工夫により、工事費全体のバランスをとる

    病院のLCC(ライフサイクルコスト)については、こちらの記事でも解説しています。ご興味のある人は、ぜひお読みください。

    こちらの記事では、将来の変化に対応するための設計のポイントについて解説しています。ご興味のある人は、ぜひお読みください。

    病院建築でのお困りごとは、SAWAにお気軽にご相談ください。

    お困りごとがありましたら、お気軽にご相談ください

    SAWA医療設計 電話番号
    目次